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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)1572号 判決 1971年12月11日

被告人

本店所在地 東京都文京区小石川五丁目三九番五号

株式会社阿島製本所

右代表者代表取締役

阿島光次

本籍

栃木県佐野市堀米町一三九番地

住居

東京都文京区小石川五丁目三九番五号

職業

会社役員

阿島光次

明治四四年四月一七日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

米田昭

主文

1  被告会社阿島製本所を罰金三〇〇万円に、被告人阿島光次を懲役四月にそれぞれ処する。

2. 被告人阿島に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社阿島製本所は、東京都文京区小石川五丁目三九番五号に本店を置き、製本及び印刷等を目的とする資本金四〇万円の株式会社であり、被告人阿島光次は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、外注加工費、労務費等を水増・架空計上して簿外の定期預金、貸付信託を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四三年三月一日から同四四年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二八、九六八、四二五円あつたのにかかわらず、同年四月三〇日東京都文京区春日一丁目四番五号所在所轄小石川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、九八八、二四三円で、これに対する法人税額が二、五八五、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額九、九二八、八〇〇円と右申告税額との差額七、三四三、〇〇〇円を免れ、

第二、昭和四四年三月一日より同四五年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三一、二三二、〇五七円あつたのにかかわらず、同年四月三〇日前記小石川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六、二三〇、一九八円で、これに対する法人税額が五、四七〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、七二一、二〇〇円と右申告税額との差額五、二五〇、七〇〇円を免れ

たものである。(なお、右各所得の内容は別紙一、二の各修正損益計算書のとおりであり、各税額の計算は別紙三の税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)(かつこ内は立証事項であり、数字は別紙一、二の各修正損益計算書の勘定科目の番号である。)

一、被告人の当公判廷における供述(全般)

一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)

一、被告人の検察官に対する供述調書(全般)

一、登記官作成の登記簿謄本(全般)

一、阿島はつゑ、福井叔子、阿島英雄の検察官に対する各供述調書(全般)

一、阿島はつゑ作成の次の上申告

1 当社の外注費のうち架空水増について(一の2、二の2)

2 退職金の架空計上について(一の2、二の2)

3 計上もれ雑収入について(一の23、二の22)

一、次の者作成の上申告

1 福井叔子(一の2、45、二の2、44)

2 阿島英雄(二の2、44)

3 鈴木邦男(二の22)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 給料等調査書(一の2、45、二の2、44)

2 未払金調査書(一の2、二の2)

3 償却超過額等調査書(一の21、二の20)

4 各事業年度末預金残高受取利息等調査書(一の22、44、二の21、43)

5 固定資産除却損調査書(二の30)

6 貸付信託収益金等調査書(一の42、43、二の41、42)

7 銀行調査書(全般)

8 税額計算書(一の46)

一、小石川税務署長作成の証明書(一の24、25、27、30、31、34、二の23、24、26、28)

一、押収してある次の証拠物(昭和四六年押一、七三六号)

1 元帳二綴(符号1、2)(全般)

2 総勘定元帳一綴(同4)(全般)

3 確定申告書二袋(同5、6)(全般)

4 法人税決議書一袋(同7)(全般)

(法令の適用)

被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、被告人阿島につき同法一五九条(懲役刑選択)。併合罪加重につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(被告人阿島、第一の罪の刑に加重)、四八条二項(被告会社)。刑の執行猶予につき同法二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

株式会社阿島製本所

自昭和43年3月1日

至昭和44年2月28日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙二 修正損益計算書

株式会社阿島製本所

自昭和44年3月1日

至昭和45年2月28日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙三 税額計算書

<省略>

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